いま僕が泊まってるホテルに、「天然温泉」という、普通サイズのお風呂がついています。
天然温泉に浸かるたびに、3つの疑問が浮かび上がります。
「売り手は、今やそこかしこにある天然温泉付きホテルの中でどう差別化を図っているのか。」
「天然温泉目当てにホテルを予約するお客さんは、全体で何%くらいいるのだろうか。」
「天然温泉の魅力って何なんだ?」
堂々巡りののち、
「天然温泉という響きが良い」
という、革新的な発見とともに湯船を出る。
それが僕のルーティンになっています。
今日、お風呂場のドアを開けると
だらしなくお湯に浸かるおじさんがいました。
シャワーでサッと身体を流し、おじさんと目を合わせないですむポジションに僕も腰を下ろしました。
沈黙とともに時間はすぎ、のぼせたのか、おじさんは湯船から上がり、シャワーを浴びるブースに行きました。
僕はその後もずっと湯船にいました。
けど、違和感を感じました。
シャワーの音がしないのです。
おっさんは、お風呂から上がるフリをしていたのです。
「早く上がってくれ」
とでも言いたかったのでしょうか。
それとも単に休憩していたのでしょうか。
定かではありませんでしたが、明らかに不自然な挙動でした。
僕は早く上がるよう促されたような気がして居心地が悪くなり、そそくさと湯船から上がり、シャワーで身体を流してお風呂を出ました。
僕が戸を閉めて、体を拭きはじめると、再び湯船からお湯が溢れる音が聞こえてきました。
そのおっさんを非難するつもりも、自分の気遣いを称賛するつもりでもありません。
ただ、むず痒くて仕方なかったのです。
直接「上がってくれ」と言うのもおかしな話ですが、
要望をアピールするためだけにわざわざお風呂から出て全裸で待つ、それもそれで滑稽ではないですか?
ほんとそれだけの話です。
「譲り合い」と「言わんでもわかるやろ」
混ぜるな、危険!